スタジオ撮影1.まずは道具と部屋の準備から

はじめに背景など

こんにちは。

私は potatoST(ポテトエスティー)と申します。団体(学校)職員として働いています。

私の趣味の一つに「写真」がありますが、最近はその趣味を他の人の役にたてるようにできないかと考えるようになりました。そこでこのカテゴリ「スタジオ撮影」では、その一つの例をご紹介したいと思います。

テーマは「卒業生の晴れ姿をきれいな写真に残してあげる」です!

最近の学生さんは卒業式などの時でさえ、「写真館で自分の姿を一生モノの写真として残す」ということをしなくなっているようです。スマホで済ましている人のなんと多いことか(もったいないのでは?)

もちろん一部にはきちんと親御さんと一緒に写真館に行く学生さんもいますが、一人暮らしで卒業式の日も親御さんが来られないような人はほとんどそのようなこともないようです。「写真館で写した写真はいいぞ」と勧めているのですが、時間と手間を取れないようですね。

そこで僭越ながら私が、そのような学生さんの写真をスタジオ品質で写してあげようと思い立ったのでした。対象がもともと写真館に行く気のなかった学生さんであれば、写真屋さんの商売を邪魔することもありませんよね。

私は専門的な写真の勉強はまったくやったことはないのですが、私の実家は田舎の写真屋でした。小学生の時から「写真館のスタジオ」というものを身近で見ていて、おおよそのイメージは持っています(門前の小僧習わぬ経を読む、というやつです)。

もともと持っていた機材(カメラや三脚)をもとに、これに何を加えていけば臨時の写真スタジオを作ることができるのか?初めてスタジオを作って撮影してみた、その経緯と結果を見ていただければ幸いです。

どういうスタジオをつくろうか

まずは作りたいスタジオのイメージを固めてみます。

プロの写真館にあるようなスタジオを再現するのはどう考えても無理ですので、それを簡単にした仕組みを考えました。その日限りの特設スタジオです。

大事なポイントは2つです。

・背景には大きな紙を使い、壁と床のつなぎ目が見えないようにすること

・2台の大きなスタジオ用ストロボを(レンタルで)用意して、影ができないように光を当てること

これさえ実現できれば、後は細かな調整を行なうことでなんとかなるのではないかと思います。

スタジオ作りの細かなノウハウについては、この本が大変参考になりました。

スコット・ケルビー著 デジタルフォト達人への道-2-( Amazon へのリンクがあります)

機材のリスト

デジタル一眼レフカメラ    Nikon D700 :手持ちのカメラの中ではいちばん性能の良いものを使います。古い機種ではありますが、現在でもまったく問題なく使えます。デジタル一眼レフであればフルサイズでもAPS-C でも結果にそれほど違いはないようでした(大きく引延せば違いますが)。ただしセンサーサイズが大きくてもコンパクトデジタルカメラでは、シャッターを押してから写るまでの時間が長すぎて使いにくいです。

レンズ  AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF):人物写真を写すときには、近くから標準レンズで写すよりも少し離れて望遠レンズで写したほうが人の形が自然になります。

三脚        Manfrotto 055CX3:シンプルで頑丈な三脚であればなんでも良いでしょう。この三脚はカーボン製でかなり軽いですが、スタジオであれば移動しないので重いスチール製でも構いません(そのほうが動きにくいので良いかも)。

三脚ケース     SLIK 1770:三脚は持ち運ぶときにあちこちぶつけると危ないのでケースが必要です。メーカーはなんでも良いので、サイズが合っているものがあればOKです。

雲台        Arca-Swiss Monoball Z1
大事なのはカメラと三脚の間にある雲台です。カメラの向きを調節するものですが、スタジオでは一度合わせればそれほど動かしませんので、レバーのない自由雲台が使いやすいです。ただし小さいものではカメラがブレやすいので、大きくてがっちりしたものがあると良いですね。ここに示しているのは台座だけで、カメラを固定するためのクランプが別に必要になります。

雲台クランプ    Really Right Stuff B2 Pro II cramp
カメラを雲台に固定するための道具です。わざわざクランプを別メーカーのものにする必要はないのですが、ここにはちょっとこだわりがありました。この Really Right Stuff 製のクランプは、軽い力でしっかりとカメラを固定できる優れものです。使い心地がすばらしいのです。

レンズプレートL10: Lens Plate for Nikon 70-200mm/2.8:70-200mm レンズ下部のネジ穴に取り付けておいて雲台固定クランプ ではさんで固定するためのものです。これも Really Right Stuff 製で、その堅牢さと使い勝手は大変良いものです。

ストロボ と反射用アンブレラ(レンタル)Profoto D1 250 Air Studiokit:スタジオ撮影用の大きなストロボはさすがに持っていませんでしたが、自分で購入するとなると良いものでは1台10万円以上します。そこで今回は専門のレンタルショップを利用して機材を調達しました。ストロボはかなり評価の高い 「Profoto」 の物を借りました。またスタジオでは最近は光を密閉して一方向に照射する「ライトボックス」を使うのが主流のようですが、お金がかかるので今回は単に反射するための「アンブレラ」を使います。これもセットでレンタルできました。

露出計 SECONIC L-308S :顔や服などに当たるストロボの光の強さを正確に調節するには露出計が必要です。フィルムカメラで使っていたものがそのまま使えたので良かったです。

背景スタンド Manfrotto 背景サポートセット(1004BAC+272B):背景の大きな紙を支えるためのスタンドです。これも自分では持っていないのでレンタルを利用しました。3240円/2日

背景紙  スーぺリア背景紙 2.72X5.5m ファウン:背景に使う大きな紙です。これは使うと汚れてしまうものなので新品を買います。1人撮影がメインですが、2〜3人の集合写真にも対応できるように少し大きめのものを選びました。色は悩むところですが、今回はファウンという薄い肌色系のものにしました。

発泡スチロール板:スタジオ撮影ではストロボの光を目的の位置に反射させる「レフ板」という物を使いますが、専用のものは安くはありません。そこでホームセンターから白い発泡スチロールの板を買ってきました。これをガムテープで繋げば大きなレフ板として使えます。

布ガムテープ:レフ板をつないだり、コードをまとめたり、ちょっとした綻びの修正などに使います。

パーマセルテープ:跡が残らず、はがしやすい粘着テープです。背景紙を床に固定したりします。

クリップ:レフ板や背景などで、ちょっと何かを留めておきたいときに重宝します。

足拭きマット:背景紙の上に靴で乗るとすぐ汚れてしまうので、その前に靴をきれいにしてもらいます。

Bluetooth スピーカー SONY SRS-X5 :撮影時にはロック音楽などを大音量で流しておくと写す側も写される側もテンションが上ります。このくらいの大きさのスピーカーであれば部屋全体に音を廻すことができます。先の参考書では「撮影時の音楽は必須だ」と書かれていました。

これで一応の機材がそろいました。スタジオの場所として卒業式の日に空いている教室を借りることができました。机が並んでいる普通の教室ですが、当日の朝の2時間ほどでスタジオをセッティングします(間に合うか?)。レンタルした機材は卒業式の前の日に宅配便で学校に届けてもらいました。

当日の準備

卒業式の当日になりました。卒業生たちが来る前に教室の鍵を借りて開け、前日に届いた機材と自前の機材を大きなキャリアに積み上げて運びます。

誰もいない教室はひんやりしてがらんとしています。

借りた教室

準備に使える時間はあまりありません。スタジオとして使うのは教室のうち黒板とは反対側の後ろ半分です。広い空間を作るため、まずは机と椅子をすべて前に移動させます(これだけでもう汗だくになりました)。

つぎは機材を広げます。カメラ、背景一式、ストロボ、パソコン、スピーカーなど…。ごちゃごちゃにならないように場所を区切って置いておきます。

そして背景をセットします。説明書のとおりに背景スタンドを組み立てて、長い横棒に幅2.72mの厚紙ロール芯に巻かれた背景紙をセットします。紙とはいえ重いので、スルスルと広げるというわけには行きません。

コツがあることがわかりました。スタンドの横棒は最初は低くしておき、背景紙のロールは重さで勝手に回ってほどけてこないようにクリップで留めておきます。後はクリップをゆるめて、少しずつ背景紙を引き出しながら広げていきます。目的の長さまで引き出したら床と背景紙の端をパーマセルテープで留め、後はクリップを緩めて少しずつスタンドの横棒を片方ずつ持ち上げていけば良いのでした(言葉で説明するのは難しいのですが、大事なのは「ロールが重さで勝手に回ってほどけてこないようにする」ということでした)。

次にストロボを配置します。大きなストロボ本体をスタンドの上に固定して、アンブレラをセットします。細かな調整は実際にテスト撮影をしながら行なうので、まずはだいたいの位置に置いておきます。

カメラ・雲台プレート・雲台固定クランプ・雲台・三脚をセットします。カメラのストロボクリップには、Profoto ストロボを無線で操作するためのリモートコントローラを接続します。

これで特設スタジオのおおよそのセッティングが完了しました。

スタジオ完成

以下は細かな物品のリストです。

機材バッグ① ThinkTankPhoto StreetWalker HardDrive